近所の家に数年前から常緑ヤマボウシが植わっていて、毎年、初夏にはびっしり花をつけ、秋には濃い緑の葉を背景に真っ赤な大粒のサクランボのような実が成るのが気になっていました。山育ちの私は、あれほどドギツイ外見の実は「私には毒がありますよ」という自然界の警告だろうと思っていました。が、最近、『常緑ヤマボウシ 実』でググってみて、毒ではないし、通常のヤマボウシの実とは異なりとても美味しいようなことが書かれていました。
海外サイトによると、常緑ヤマボウシは大きく2つに分かれていて、ひとつは中国南部からベトナム、ラオスに分布するホンコンエンシス(Cornus hongkongensis)と、もうひとつはヒマラヤからブータン、インド北部に分布するヒマラヤヤマボウシ(Cornus capitata)があるようです。違いは、花びらのように見える部分が、ホンコンエンシスのは剣弁タイプなのに対し、ヒマラヤ系のは丸っこい感じがします(俗称のHimalayan dogwoodでググると画像が出てくる)。また、アメリカのサイトによると、ヒマラヤ系の実は、「若干苦味がある」とか、さらには「食べられるが美味くはない」と言ってるものまでありました。なので、苗を選ぶにあたり、ヒマラヤ系は最初からはずしました。
で、ホンコンエンシスの方は、あれほど広範囲に分布しているので地域によってバリエーションがあり、数十種に分類されているそうで、日本に入っているのはどれとどれなのかは分かりません。
さらに、「月光」は、ホンコンエンシスから日本で実生選抜して作出した品種で、花つきや実止まり、味など、元のホンコンエンシスよりずっと優れているようです。問題は、どこの業者の苗も大株で値段がはることでした。ホンコンエンシスはシンボルツリーとして見栄えがよいけど、成長が緩慢なので、最初から大苗を植えないと存在感が無いからなのでしょう。さらに、月光を売っている業者によると、「普通のホンコンエンシスは小苗から植えて開花するまでに数年かかるが、月光ならもっと早い」という内容のセールス文句もありました。
でも、うちは鉢植えで管理するので、小苗のほうが良く、さらに、1年でも早く味見したい。それでやっと見つけたのがこの↓ 苗でした。予想していたよりも樹高はありませんが、こんなチビ苗でも蕾だらけということは、間違いなく「月光」であるという安心感が得られます。(サイズ比較のために使ったハイポのボトルの汚れは無視)
近所の例でみると、毎年11月頃に真っ赤な実が成ります。その味を知りたくて「ヤマボウシ 月光 実」でググると、実際に食べたことのある人たちがブログなどで報告しています。柿とリンゴとビワを混ぜたような味、という印象です。あのサイズで本当に美味しいなら、ジューンベリーなど、小粒のベリーの樹を育てるより遥かに価値あるように思えてきました。場合によっては、果樹リストに加えるかもしれません。
Cornus hongkongensis "gekkou"
もう、蕾が膨らみ始めています。
今年は8号鉢で管理。ここは関東の暖地なので、近所の大苗は冬を通して緑のままですが、寒さで紅葉した状態も悪くないです。